国境なき記者団が、ミャンマーで拘束中の映像作家・久保田徹さんの即時解放を要求

国境なき記者団は8月5日、以下のように発表した

国境なき記者団(RSF)は、日本人ドキュメンタリー映像作家・久保田徹氏が7月30日、ミャンマーで反政府デモを取材した直後に逮捕されたことを強く非難し、現在ミャンマーで拘束されているすべてのジャーナリストと合わせて、同氏の即時解放を求める。

久保田徹氏(26)は、ミャンマー最大の都市ヤンゴンでフラッシュモブ形式のデモを取材後、少なくとも2名のミャンマー人とともに私服警官によって逮捕された。ミャンマーで拘束された外国人ジャーナリストは、2021年2月の軍事クーデター以来5人目となる。
現在彼は、あらゆる虚偽の声明・噂・情報の公開または流布を罰する刑法505条(a)、および不法入国を罰する入国管理法13条1項に基づいて起訴され、合わせて7年の禁固刑に処される可能性に直面している。
RSFアジア太平洋支局のダニエル・バスタード支局長は、「抗議デモを取材しただけでジャーナリストを逮捕するということは、受け入れられない。本件は、ミャンマー当局がジャーナリズムを完全に侮蔑していることのさらなる証拠である」と述べた。「我々は、日本の林芳正外務大臣に対し、現在拘束されている68名のミャンマー人ジャーナリストたちのためにも、久保田徹氏の釈放および調停のためにあらゆる手段を講じるよう要請する」

ハラスメント

久保田氏の逮捕後、彼が積極的に反政府デモに参加したことを示唆するような、久保田氏と他3名の人々が横断幕を持っている写真がミャンマーのソーシャルメディアで広まった。しかし、昨年ミャンマーで1ヶ月間投獄された日本人ジャーナリスト・北角裕樹氏は、RSFに対し、この写真が事件の後、当局によって演出された可能性を否定できないと語った。
「私としては、この写真が、彼の逮捕後、何らかの強制下で撮られた可能性はあると思う」と北角氏は述べた。「報復措置への恐れから、この種のフラッシュモブ形式のデモは1分ほどしか継続して行われず、誰一人として写真のために足を止めてポーズをとったりはしない。さらに言えば、この写真の背景は、抗議デモが行われた場所のものとは明らかに異なっている」
久保田氏は、自身のドキュメンタリー次回作の撮影のためにミャンマーに到着した後からミャンマー当局に監視されていたとも報じられている。久保田氏の仕事仲間によると、7月21日に国軍が彼の宿泊していたホテルの部屋を訪れ、身辺とパスポートをチェックしたという。

デリケートな取材対象

久保田氏は、Yahoo! News Japan、VICE Japan、Al Jazeera Englishといった日本国内および国外のメディアと仕事をしてきた。また、コロナ禍における東京の貧困問題に関する報道などにも見られるように、社会の中で取り残された人々の姿を伝えることに力を注いでいた。
十数回にわたるミャンマーへの渡航・取材経験を通じて、デリケートな民族問題に特に関心を抱いており、2014年に彼が初めて制作したドキュメンタリーは、ミャンマー西部に住む、主にイスラム教徒である少数民族・ロヒンギャ族に関するものだった。ロヒンギャ族は、2017年に国軍が大規模に組織した虐殺の犠牲となった。
現在、ミャンマーでは計69名のジャーナリストが拘束されているが、外国人は久保田氏のみである。クーデター以降、北角氏に加えて、米国人ジャーナリストのネイサン・マウン氏とダニー・フェンスター氏、ポーランド人写真家のロバート・ボシアガ氏の4名の外国人ジャーナリストが投獄されたが、いずれも後に釈放され、国外退去処分となっている。