「ミャンマーで拘束の日本人映像作家に禁錮10 年の判決」国境なき記者団が久保田さんの開放を要求

国境なき記者団(RSF)は、ミャンマーで扇動罪および「恐怖を引き起こした」罪により10 年の禁錮刑を言い渡された日本人ドキュメンタリー映像作家・久保田徹氏の無条件かつ即時の解放を求めるとともに、日本当局に対し同氏の解放に向けて最大限の圧力をかけるよう要請する。
2ヶ月前に逮捕された久保田氏は、10月5日、ミャンマー最大の都市・ヤンゴンの郊外にあるインセイン刑務所の軍事法廷にて、完全な密室状態で、扇動罪で7年、および「公衆に恐怖または警戒を引き起こした」罪を罰する曖昧な法律である刑法505条(b)項でさらに3年の有罪判決を受けた。
 RSFアジア太平洋支局支局長であるダニエル・バスタードは「われわれは、恣意的に逮捕され、証拠を捏造され、密室で略式裁判の対象とされた久保田徹氏の無条件かつ即時の解放を求める。このような扱いは、法の支配に対する底なしの無視という、軍事政権の病的な症状を示している。」と述べた。
「ミャンマーの将軍らは外国人ジャーナリストを外国政府との交渉の切り札として使うことが習慣化してきているため、われわれは、日本の林芳正外務大臣に対し、久保田氏の解放を成すために最大限の断固たる姿勢で臨むことを強く要請する。」
7月30日、久保田氏はヤンゴンの路上でフラッシュモブ形式のデモを取材した直後に逮捕された。その後、治安部隊が、彼と他の3名の人々が横断幕を持っている写真をソーシャルメディアで広め、それは彼の起訴を裏付けるためにも用いられたようである。しかし、RSFの聞き取り調査は、この写真が彼の逮捕後に何らかの強制下で撮られたとしか考えられないことを明らかにしている。
RSFの報道の自由調査報告によると、現在ミャンマーでは少なくとも68名のジャーナリストが拘束されているが、その中で久保田氏は唯一の外国人である。これまでに、同じく日本人ジャーナリストである北角裕樹氏、米国人ジャーナリストのネイサン・マウン氏とダニー・フェンスター氏、ポーランド人写真家のロバート・ボシアガ氏が拘束されたが、いずれも最終的には釈放され、国外退去処分となっている。
ミャンマーは、2022年RSF世界報道自由度ランキングにおいて180カ国中176位だった。