国境なき記者団、中国の国連人権理事会協議グループ参加に懸念

国連人権理事会協議グループのアジア太平洋地域代表に中国の外交官が指名されたことに対し、国境なき記者団(RSF)は懸念を抱いている。中国政府が自国の人権侵害に関する調査に介入する事態になりかねない。

残念ながら、これはエイプリルフールのジョークではない。4月1日、中国の外交官Jiang Duan氏が、国連人権理事会(HRC)協議グループのアジア太平洋地域代表に指名された。HRCは、5ヶ国からなる国連の機関であり、特別報告者、専門家、人権侵害を調査するワーキング・グループのメンバー候補を評価する役割を担っている。

中国政府は、組織的かつ大規模な情報操作を行っており、他国も中国のやり方を模倣している。国境なき記者団(RSF)は、国連の諮問資格を有しており、今回の指名が中国の人権侵害調査を行う専門家の選出過程に影響を与える可能性があると懸念している。

RSF東アジア支局長のセドリック・アルビアニは「国連による調査は、報道の自由侵害などの人権侵害行為を立証し、制裁を加える上で、国際社会にとって必要不可欠だ」と述べた。「民主国家が団結し、このような馬鹿げた人選を非難するべきだ。中国政府が国連による人権保護の取り組みに圧力を加えないよう、細心の注意を払う必要がある」

1年間の任期中、中国は、17人の専門家の評価プロセスに参加する。表現の自由に関する特別報告者や、恣意的拘禁に関する国連作業部会(RFSは中国のジャーナリストの恣意的拘束事例を公式に認定するため、同作業部会に定期的に報告している)の3メンバーなどを含む専門家の公平性は非常に重要だ。

ミシェル・バチェレ国連人権高等弁務官は、サウス・チャイナ・モーニングポスト紙への寄稿で、昨年香港で起きた抗議活動に関連し、警察当局による市民やジャーナリストに対する暴力を国際的に調査するべきだと訴えた。12月、中国の国連代表団は「不適切な介入」だとしてバチェレ氏を非難した。10月にも中国は、新疆に関する国連の調査に関して完全な協力を拒んでいる。新疆では「思想の自由のためのサハロフ賞」や「ヴァーツラフハヴェル人権賞」を受賞したイリハム・トフティ氏などを含む多くのジャーナリストが拘束されている。

中国は、世界で最も多くのジャーナリストを拘束しており、その数は少なくとも108人に上る。2019年の世界報道の自由ランキングで、中国は180ヶ国中177位だった。