東京電力福島第1原子力発電所事故から9周年を迎えるにあたり、国境なき記者団(RSF)は、
福島関連のテーマについてジャーナリストの自由な報道を妨害しないよう、日本当局に要請する。
来たる3月11日(水)、日本は福島原発事故から9年目の節目を迎える。東関東大震災に伴う津波によって引き起こされた福島原発事故は、チェルノブイリ原発事故以来最悪のものであり、18,500人が死亡・行方不明、160,000人が避難を余儀なくされた。また、大量の放射性物質の放出は今日も続いている。原発事故以来、この問題について取り組もうとするメディアは常に圧力と検閲に晒されてきた。
国境なき記者団(RSF)は、日本政府・当局に対し、福島関連の話題を取材するメディアの自由な報道を保証するよう要求する。また、海外特派員・フリーランス記者を含むすべてのジャーナリストが、汚染された地域や発電所、およびすべての入手可能な一次データにアクセスできるよう求める。
RSF東アジア支局長のセドリック・アルビアニは「市民にとって、放射線レベルに関する独立した、かつ正確な情報へのアクセスは必要不可欠なものである。」と述べている。「政府は現在、9年経ってなお、まだ最終的な居住地が定まっていない避難住民の汚染地域への
帰還を推奨しているが、彼らが直面するであろう放射能による健康被害について、完全なる透明性が確保されなければならない。」
政府や原発関連の圧力団体は、日本に対して「ネガティブな印象」を与えるように見える、2020年夏の東京オリンピック開催を妨げるような情報を
封じこめようとしており、日本のジャーナリストの多くが、それに起因する報道機関内部の忖度による激しい自己検閲の蔓延を非難している。
主要ニュース番組の作成に関わっていた元テレビ番組制作者(匿名希望)は、「政府や広告主からの多大な圧力」により、もはやその部署では福島原発からの放射性物質が与える長期的影響に関して報道をすることができなくなった、と言う。その人物は「安倍晋三内閣から(テレビ局の)経営陣に対し、気に入らないジャーナリストらを他の部署に異動させるよう求める電話が何度もかかっていた。」と語った。
2014年、朝日新聞は、福島第一原発にいた所員の約9割が、事故対応の最中に待機命令が出ていたにも関わらず撤退していたことを指摘する記事を掲載したことで政府の怒りを買い、当時の社長は公的な謝罪に追い込まれた。受賞歴もあるジャーナリストで、記事を執筆した木村英昭氏と宮﨑知己氏は、記事を書くことが出来ない部署への異動を余儀なくされ、その後辞職した。
2009年から2015年までニューヨーク・タイムズ東京支局長を務めたMartin Fackler氏は、当局の福島に関する情報は「明らかに透明性を欠いている」と指摘する。また、朝日新聞の記事取り消しは「他の主要メディアの福島にまつわる調査や報道を萎縮させる重要な契機となった。」とコメントしている。
表現の自由に関する国連特別報告者であるDavid Kaye氏は2017年、日本における報道の自由に関する深刻な懸念を表明し、2019年には、報道の自由への侵害がさらに深刻化していると指摘している。
日本は、2019年世界報道の自由ランキングで180ヶ国中67位だった。
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