日本人ジャーナリスト、「名誉毀損」リツイートを巡って司法による嫌がらせの被害者に(RSF)

ジャーナリストが元大阪府知事を「名誉を毀損」する内容の投稿をリツイートしたとして、慰謝料の支払いを命じられた判決を巡り、大阪高裁は、同ジャーナリストの控訴を棄却した。国境なき記者団(RSF)は、大阪高裁に対し、決定を再考するよう求める。

大阪高裁は6月23日、ジャーナリスト・岩上安身氏の控訴を棄却した。岩上氏はニュースサイト「Independent Web Journal」の創設者で、影響力のあるジャーナリストである。2017年、岩上氏は、元府知事が職員を自殺に追いやったと示唆する内容の投稿をリツイートし、2019年9月、このリツイートが橋下徹元大阪府知事に対する「名誉毀損」に当たるとする判決が言い渡された。岩上氏は、この判決は「ハラスメント」だと訴えていた。

RSFのセドリック・アルビアニ(Cedric Alviani)東アジア事務局長は、「大阪高裁は、岩上安身氏の控訴棄却の判断を再考すべきだ。これは明らかに司法による嫌がらせであり、このような状況は、岩上氏のジャーナリストとしての誠意ある仕事を妨げる。」と述べた。「情報収集はジャーナリストの仕事の一部であり、有益だと判断した情報を、単にリツイートをしただけでその影響を心配しなければならない理由はない。ましてや、名誉毀損の罪に問われる可能性に脅かされる理由は皆無である。」

一審判決は、事実かどうか確認できない投稿を、ツイッターで18万人近いフォロワーを抱える有名なジャーナリストが拡散したことは悪要因だとして、リツイートをオリジナル投稿への「賛同」に当たる行為と認定した。岩上氏は33万円の支払いを命じられた。

日本では、メディアの多元性は原則として尊重されている。しかし、伝統的な考え方やビジネス優先の文化が強いことから、報道機関は民主主義の監視役としての役割を全うできずにいる。日本のジャーナリストらは、2012年に安倍晋三氏が首相に再選されて以降「不信を生む空気」が蔓延し、彼ら自身が攻撃の対象になるケースもあると訴えている。福島第一原発事故や新型コロナウイルスのパンデミックなど、センシティブな話題を取材するジャーナリストにとって、政府からの圧力や、愛国主義グループによるオンラインの嫌がらせは日常となっている。

日本は、RSFの世界報道の自由ランキング(2020年版)で180ヶ国中66位だった。